第3章 49日で妻を想う 

1.「人生を全うした妻を想う

2022.3.6


人の一生で大切なのは如何に長く生きたかと言うことではな

く、如何に充実した人生を送ったか、如何に人生を楽しんだ

か、と言うことだと思います。

 妻は生涯社交ダンスを続け、毎晩大好きな読書を楽しみ、歌舞伎に

は目がなく、美術館やお寺の庭園を楽しみ、国技館で相撲を観戦して

いて地元の力士に透き通った大きな声で声援を送ったことも思い出さ

ます。

 又ダンスに通じるのかフェギアスケートもテレビを独占し楽しんで

いました。

又妻の勧めで私も60歳頃から社交ダンスを始め、70歳を機に個人レ

ッスンを受けパーティでペアで楽しくで踊った事も思い出されます。

夫婦で同じ趣味を持ったのは非常に良かったと思っています。

又妻の設営で良くホテルや有名な小料理屋に出向き二人で楽しんだ

あのひと時思い出されます。

又私の方の兄弟旅行も楽しみの一つで、その後続けて二人だけの旅を

み素晴らしい光景に出合えたことも思い出されます。

 それに妻の長年の夢であった奈良ホテルの旅も1年前に実現し娘にも

その素晴らしかった喜びを伝えていたようで、今も二人だけの楽しい

旅が思い出されます。

 妻は78歳と10ヶ月の人生でしたが、十二分にエンジョイしてあの

世に旅立ったので、もう少し一緒に暮らしたかったと言う私の願いは

欲が深いのかも知れません。

 妻にとっても思い掛けない突然の死でしたが、やりたいことは殆ど

やりつくした立派な素晴らしい人生だったと褒めてやりたいです。

本当に感謝・感謝・感謝です。


 
 

二人の思いでの風景

京丹波の天若湖の桜/美山の由良川渓谷と紅葉/奥琵琶湖の針江湿原

/妙高高原のいもり池・苗名の滝・戸隠鏡池/裏磐梯の檜原湖・五色

沼/富士五湖巡り/北海道の美瑛と富良野/東京神宮外苑/上高地の

梓川・大正池・田代湿原・明神池/軽井沢の白樺湖・御泉水園・御射

鹿池/吉野の中千本桜/中山道の阿寺渓谷・柿其渓谷・甲斐駒ヶ岳の

ふもと/山古志村の棚田/奈良ホテルと山の辺の道・奈良公園法隆

等の写真を見ながら気持ちを和ませています。



ジョイダンスパーティで踊る

生き生き踊る姿がとても懐かしい


 

2.「生前二人だけの会話」

生前よく夕食時に、仕事ではやるべき事は全てやり遂げたので全く悔

いはありません。又過去に未練もなく晴れて定年退職を迎える事が出

来のは貴女のお陰と感謝していました。

「この料理は最高に美味いね」と言って毎日本当に幸せな日々でした。

又車の中で良く、妻はもし自分が残ったら何も出来ないから先に逝か

せてと言うと、決まって私は貴女の方が健康だから私が先に逝くと思

うよと言い合っていました。

それに料理も何も出来ない私が残ったらどうなるのよと冗談を言って

いました。

又妻は自分が先に逝ったら私のお金も使って充分楽しんでねとも言っ

ていました。

しかし残念ながら妻のいない寂しさはお金では買えません。

又子供達のことを考えて、お墓は作らず大谷本廟に預けようねと話し

合ってもいました。

そして80歳を前にお互い結婚して本当に幸せだったと感謝し合って

いました。

これからおまけ人生と思って楽しんでいこうやと言って夢を膨らませ

ていました。

こんな日常会話をしていた矢先でしたので本当に本当に残念でなりま

せん。


3.「涙が溢れるのは何故なのか?

一人散歩のときや一人になった時、又歌の歌詞が琴線にれた時、自然

に涙が溢れて止まらなくなるのは何故なのかわからず長い間もやもや

していました。

 ところが没一の会の「楽々亭通信の第27号」の中に「人は出会いに

よって育てられ、別れによって深められる」の言葉から、最愛の人を

亡くしたことで愛がより深められ、悲しさや寂しさだけでなく愛おし

さも倍増して涙が溢れるだと悟り又涙か出る時は思い切り泣きなさ

いという意味も理解できる様になりました。

 妻は、やりたい事は全てやりきり幸せな人生を送って今はあの世で

幸せにしているので私の事は心配しないで下さいと言っています。

むしろ私が急に旅立ってしまったのでお父さんや子供達や姉妹に迷惑

をかけてしまい申し訳なく思っています。

 私は妻から、「前向きに楽しい人生を歩んで欲しい」と言われてる

ようで、この声を信じ「寂しさや愛おしさで涙が溢れるときは思い切

り涙を流し」その後は今日の出来事や先の事を楽しく会話するように

してポジテブに生きる事にしました。